幽玄なるかな淫靡なるかな剛毅なるかな


by reddragon_samael

<   2007年 01月 ( 3 )   > この月の画像一覧

アブラカタブラ

息も絶え絶えポックリ逝ったはずのダマランチが潜入した広場では、五千人ほどの脂ぎった中年男性が行進していた。

「脂ぎれ! 脂ぎれ!」

先頭の男はそう叫び、おっさんたちは、いつも以上に脂ぎって見せた。
看板には「第八回脂ぎり選手権 脂たちの競演」と書かれている。
ダマランチは妙案だとばかりにその行進に紛れ込んだ。

くくく、脂ぎることにかけては、このおれの右に出るものはいない!

そこに妖精アニャニャッチャが、ひらりと現れ、ダマランチの脂をこそぎとってしまった。

「アハハハ、アンタの脂なんか……」

しかし、残念ながら、ダマランチの脂は、妖精にとっては毒以外の何物でもなかった。

アニャニャッチャは羽虫のごとく、ペタリと落ち、そのまま脂たちの行進の中で見えなくなってしまった。

「まず、神はこうおっしゃった。『脂ぎれ!』すると脂がこの世に生まれたのです!!」
歓声が湧き起こる。

司会の男は、黒いスーツに紅い蝶ネクタイで、眼鏡をかけている。
身体は細く、しかしながら、確実に額には脂が浮き上がっていた。

「さあ、みなさんには脂のプールをご用意しています。その肥満体に拍車をかけ、さらなる脂の高みを目指しましょう」

ぞろぞろとアブラーズを引きつれ、司会のスーツアブラマンが先頭を切って歩く。

その先にはなんと! 
脂のプールを呑みつくして、視線があっちの世界に行ってしまっているカール伯爵が待っていたのだ。

「待っていたぞ、モゴラーニャ」

しかし、モゴラーニャはいなかったので、誰も返事をしなかった。

沈黙の代わりに脂を称える声が、それは冬将軍のように、あるいは日本海あたりに打ちつける荒波のように、カール伯爵に世の厳しさを教え諭したのである!
[PR]
by reddragon_samael | 2007-01-24 02:20 | モゴラーニャの冒険シリーズ

Heaven & Hell (3)

そもそも出張とかするから物を失くすんだよ、と意味のわからない愚痴をこぼしてみる。
えーい、前回で終わりだと思った読者諸氏、甘い、甘いぞぇ!
では、続きだ。

翌週、財布を取り返すべく、再び名古屋の地に舞い戻ったオレ。
まず、市役所に行かなければならない、と葉書には書いてある。
財布と一緒に運転免許証を紛失していたために身分証明書が必要だろうということで、パスポートまで持っていった。
しかし、これがまた面倒くさい話の始まりだ。

市役所の係は、二人組。
一人はえらく手際の悪いおじいさんで、もう一人はやたら舌打ちとかしてそうなおっさんだった。
部屋の中は忘れ物でいっぱいだ。傘やら鞄やら、服やら。鍵なんかも箱にしまわれている。
僕の前には携帯電話を失くした外国人がいた。
おじいさんのほうは、やたら首をかしげ、もう一人は、ちゃんと連絡しろだの、何だの、弱りきった外国人に説教する。
外国人はどうにか自分の携帯を取り戻してそそくさとどこかへ行った。

僕は自分の番が来ると、まず葉書を出し、それから鞄にしまってあったパスポートの入れてある封筒を取り出す。
所定の紙に住所だの何だのを書き、財布をゲット。
しかし、現金は、警察署で受け取るものらしく、完璧に抜き取られていた。
別なポケットにためてあったギザ10まで。

でもって、警察署は市役所から地下鉄に乗って、降りてから10分くらい行ったところにあるらしい。
うわー、めんどくさー。

しょーがないので行きましたよ。

が、途中の電車で気づく。例の封筒がない! パスポート入り封筒(虎の子の現金も一緒さ♪)!

今度はパスポートを市役所に忘れてしまったのだッ!
うーむ、遠慮なく忘れるなあ、自分。
毎度のことながらさすがに凹む。

すぐさま、逆方向の電車に乗り、市役所に戻りましたさ。窓口の台に置きっぱなしでした。

ひどい。自分、ひどいなぁ。

そこからは警察署に行き、現金を取り戻しました。
誰だかわからないけど、拾ってくれた人、ありがとうございました。

そして、翌週、家賃を振り込むため、振込に使用していた口座を復活させようとするも、なぜか電話がつながらず。

そうこうしているうちに今度は携帯電話が行方不明に!
夜、ホテルで同僚にかけようとしたところ、なくなっていた。
昼まではあったはずなのに。

こうなると笑いを通り越して絶望的な気分に。
なくしすぎっす。

自分の携帯にかけるとつながる。電源は入ったままのようだ。
通常、電車に忘れた携帯電話が拾われると、電源は切られてしまう。
それに名古屋の地下鉄は電波が届かないので、どうやら電車に忘れたのではないようだ。

翌朝、出張している客先で確かめたが、そこにもないようだった。

後はタクシーくらいしかないな。じっちゃんの名にかけて。

とりあえず自分の携帯電話にかけまくった。
失くす前にすでに電池はゲージ一本分しか残っていなかったのだ。切れる前につなげてやる!
すると、つながった!

タクシー会社だった。

BINGO!

いや、うれしくないけどさ。

何でも、落し物センターからタクシーで運ぶから、メータを回させろとのことだった。

……何でもいいよ、もう。

ということで、乗客であらせられる携帯様を運んだタクシーが客先に現れた。
こりゃ、いい晒し者ですわ。
1750円なり~。

久々に見た携帯には、普段はまったく来ないメールがたまっていた。
中には会社から来ているものがある。

それによると、大家から家賃滞納してるから払わせろっていう連絡があったとのことだ。
はあ? 会社に?

意味わかんね。

このときはまだ12月だったのだが、払うように言われていたのは1月分の家賃だった。
これって滞納って言うのか?
大家が一方的に何日までに翌月の家賃を払えと通知してきた日を過ぎていただけだ。

だいぶ頭にきたのだが、とりあえず、口座を復活しなくては、ということで電話をしてみる。
すると電池が切れた。

「僕はもうだめだよ、パトラッシュ」

だめなのは携帯じゃなくて、僕のほうだけどな……
[PR]
by reddragon_samael | 2007-01-15 01:54 | ちょっとやんちゃなたわ言

Heaven & Hell (2)

喪失したものを取り戻すことは、マイナスからゼロになること単純にそれだけではない。
ほんとだってば。
まあ、いいや。続き。

ホテルのフロントで散々財布を探した挙句見つからず、赤っ恥をかいた僕は、一度駅に戻った。
もう終電間際だったので、駅の出口はところどころ閉鎖されている。
駅員に財布について尋ねる。
勘違いした駅員には、やたら電車はもうないよと言われたが、こちとら電車に乗る金がないっての。

結局、駅には財布はない。

電車に落とした可能性もあると思い、その電車の行き先の連絡先も聞く。
まだ、終点には着いていなかったため、電話は後ですることにした。

名古屋から栄まで移動し、ホテルまでの間、15分ほどだ。
財布を落とすタイミングはほとんどない。
電車ではずっと立っていたし、どこかに財布を置き忘れたわけではないのだ。

僕はあっさりあきらめ、同じホテルに泊まる予定だった同僚に電話した。
電話がつながらず、極めて珍しく留守電に声を吹き込んだ直後、後ろにタクシーが止まった。

そこには件の同僚が、疲れきった様子で乗っていたのだ!

まさしく天使(疲れきってはいるが)!! いや神(疲れきってはいるが)!!

おかげで無事ホテルに泊まれました。お金も拝借しました。

翌日、電車の終点の駅と名古屋駅に電話するも、収穫なし。
しょうがないので、財布に入っていたキャッシュカードを使用できないようにし、警察にも届出をした。いつでも携帯に連絡が入るハズ!
これで万全だろ! 失くしてから万全かよと自己ツッコミ。

万全になってから数日後。

もう、出張先から帰ろうというタイミングで、財布の連絡は、思いがけないところからやってきた。

なぜか実家。
おまけに葉書で連絡が来たらしい。

ああ、警察スルーですか。

要約すると、市役所にあるから受け取りに来い、ということだ。

ほう。

しかも平日のみ。残念ながら、その日は土曜だった。

ついでに葉書をもってこいと、その葉書には書いてある。

財布をなくしたのは名古屋。葉書は埼玉。

現在地、名古屋。

無理じゃん……
[PR]
by reddragon_samael | 2007-01-05 01:50 | ちょっとやんちゃなたわ言